中国切手の価値はどれぐらいある?
世界各国のなかでも、長い歴史を誇る中国。その歴史の中で、それぞれの時代の象徴として、様々な切手が発行されてきました。
しかし、1966年からおよそ10年にわたって続いた文化大革命で、中国国内のコレクターたちが集めていた切手の多くは廃棄されることとなりました。それでも一部が日本などの他国にわたり、保管されてきたのです。
こうした経緯があり、中国切手には希少なものが数多く存在しています。それでは、どういった切手にどれだけの価値があるのでしょうか。
牡丹と菊の花が美しい特殊切手シリーズ
文化大革命以前の1951年から1966年に発行された「特」という編号が振られている中国切手は、特殊切手と呼ばれています。菊シリーズと牡丹シリーズも、特殊切手に分類されます。「特44」の菊シリーズは1960年から1年かけて順次発行された、18種類からなるシリーズ切手です。この番号は、44番目の特殊切手という意味です。グラビア印刷を採用しているため、花が色鮮やかに描かれています。
18種類の中でも、最も発行部数の少ないものは100万枚しか発行されておらず、希少性が高いです。額面30分の「墨荷」などが該当します。すべての種類が揃っている場合には3~4万円前後、揃っていなくても枚数次第で数百~1万円ほどの値が付きます。
一方、「特61」と「特61m」の2種類が存在する牡丹シリーズは、「牡丹の父」とも呼ばれた中国人画家・田世光の描いた図柄を採用しているシリーズです。特61は通常の単片切手15種類、特61mは小型シートになっています。単片切手15種類は、それぞれ描かれている牡丹の花が異なります。全てそろった状態であれば、買取相場は2万円前後になるでしょう。もちろん、数少ない切手のため、バラでも枚数によって1000円以上での買取が期待できます。
しかし、牡丹シリーズは小型シートの方が価値が高いのです。小型シートは4万枚しか発行されていないため、買取相場は1枚あたり10万円以上になります。
シンプルなデザインが特徴の大パンダ
およそ10年にわたって続いた文化大革命。その時代に発行された大パンダ切手は入手困難な切手です。大パンダ切手は1963年発行のものを一次、1973年発行のものを二次と呼び、区別されています。また、一次は「特59」、二次は「革14」が振られています。「革」は、文化大革命時代の特殊切手に振られた編号です。
特59の大パンダ切手は、額面8分が2種類、10分が1種類の合計3種類が発行されました。3種類揃っていれば1万円前後で買い取られるでしょう。バラであれば、8分切手の「笹を持った大パンダ」が一番高く買い取られます。また、この特59が振られた一次大パンダ切手には、額面が12分と15分のものも存在します。8分・10分との違いは、目打ちと呼ばれる切り取り線がないということです。目打ちのない大パンダ切手は発行部数が明確になっていないため、通常版の一次大パンダ切手よりも、高額での買取が期待できます。
革14が振られた二次大パンダ切手は、額面が4分・10分・20分・43分が1種類、8分のみ2種類の6種類が発行されています。この切手が発行されたとき、上野動物園に初めてパンダがきたことで日本はパンダブームが起こっていました。そのため、当時は日本国内の百貨店などで購入することができ、日本では比較的によく目にする切手です。しかし、保存状態が良いものは4000円前後で買い取ってもらうことが可能です。一次・二次ともにその可愛らしいパンダの姿も、人気の理由の一つです。
中国で初めて発行された年賀切手
中国切手の中でも最も有名といえるのが、1980年発行の年賀切手「赤猿」です。正式名称は「子ザル」といい、額面は8元です。編号は「T46」が振られており、「T」は1974年以降に発行された特殊切手を意味しています。この切手は中国で初めて発行された年賀切手であるため、単片切手でも10万円以上の値が付くプレミア切手です。単片切手80枚で構成されるシートであれば、500万円以上の値が付くこともあります。
猿の顔の部分を中心とした金色の部分は、酸化して黒ずみが目立ちやすい切手です。そのため、保存状態が良く猿の顔がきれいなものは極上品と呼ばれ、より買取価格は高くなります。
また、この切手には、郵便局員が販売ノルマ達成のために大量に購入し、30年後に買取に出したところ、高額買取されて大金を得たというエピソードがあります。これも、赤猿が有名になった理由といえるでしょう。
紹介した切手は、高額買取される切手の一部にすぎません。毛沢東のシリーズ切手は根強い人気があり、すべて高額買取されるほどです。しかし、昨今の人気により、レプリカや偽造品も多く出回っています。もし買取や売却を考えているのであれば、査定員のいる切手買取業者に依頼することをおすすめします。