中国切手の赤猿とは?
古くから切手には郵便に使用する以外に、骨董品としての価値が付けられることも多いです。
そして世界中で発行された製品が対象となり中国切手も例外ではありません。
その中でも最も有名なのが「赤猿」という種類の切手です。
中国切手と言えば真っ先に赤猿が挙げられます
その名前の通り全体的に赤い中に猿の絵が描かれたこの切手は1980年の旧正月に中国で初めて発行された年賀切手です。
描かれているのは厳密には子猿で1枚が8元のものを4枚綴りで一組として発売されました。
赤猿は初めての年賀切手というだけでなく、予定していた数よりも少なく発行されているので、より希少価値が上がって高額で取り扱われることに繋がっています。
現在では非常に価値のある代表的な切手として扱われ、状態の良いものであれば数十万円で取引されることも少なくありません。
折れたり傷が付いていても、本物であれば数十万円単位の値打ちが付けられる程です。
1枚でも十分な価値がありますが、発売された当時の新品に近い状態であるほど高額で取り扱われます。
複数枚が繋がったままであったり、余白であるミミ紙が付いていたりするのがその例です。
また赤猿の後はシリーズとして毎年その年の干支に応じた年賀切手が発行され1991年に未が発売されるまで続きました。
ただその中でも赤猿は発行された部数が圧倒的に少なかったため、他のシリーズよりも価値があります。
稀にシリーズでまとめて取り扱われることもありますが、その全体の価値は赤猿がほとんどを占めていることになります。
赤色が使われていることが人気の理由です
中国の人にとって赤というのは、数ある色の中でも特別大切にされていて人気があります。
おめでたいことがあれば赤で統一された装飾を施し、結婚式でもチャイナドレスを着る場合は赤の生地を用いることが圧倒的に多いです。
さらに春節の際に壁に貼る倒福のベースは赤ですし、国旗に使用されている色でもあるなど至る所で使用されています。
そのように中国では赤は昔から縁起が良い物としての印象が非常に強いため、初めての年賀切手にも使われたのでしょう。
同様の干支切手シリーズにも背景が白の他の色が付けられている場合がありますが、赤が用いられているのは猿のみです。
そのことがさらに赤猿の人気に火を付け、シリーズ内の他種を置き去りにする程の価値となっています。
骨董品なので付き物の贋作もあります
赤猿は切手の中でも高額で取り扱われる骨董品なので、壺や絵画と同じように贋作も数多く存在しています。
贋作の中には切り取るために空ける目打ち穴の数が違うようなお粗末なものもありますが、古さを演出するエイジングなど高い技術を用いて作られている場合も多いです。
発行されてから数十年経過した本物がどのように変化するのかを正しく理解する知識も必要となります。
歴史的な価値が付いたから贋作が出回るようになったというわけではなく、発売された時点ですでに価値が高いものでした。
そのため本物として扱われてきた偽物も多く、急ごしらえではない自然な紙や塗料の劣化が判断を難しくしているわけです。
ただ真贋の見極めは不可能なものではなく、使われている字体や素材を始めとした知識を持った人であれば見抜けます。
もし赤猿を切手のコレクションに加える場合は、その真贋をしっかりと見極められる人が取り扱う信頼できるルートから手に入れることが大切です。
またその人気ゆえに偽物とは別に公式のレプリカも数多く発行されていますが、こちらは分かりやすく数字の部分に斜線が入れられています。
中国でもめでたいとされる赤色と金色が使用された赤猿は、ただでさえ発行された数が少ない上に、もちろん今後その数が増えることはありません。
数ある切手の中でもランクの高い位置にあるので、切手全体に何かしらの変動がない限り、その価値は健在と言えるでしょう。