買取でも人気の中国切手の希少デザイン
一般的に中国切手とは、1949年10月以降に中国郵電部郵政総局から発行された切手のことです。この中国切手は、文化大革命によってコレクションとして切手を保管することが禁止されてしまった影響で、多くの切手が紛失してしまいました。その結果、プレミアがついたのですが、希少デザインの切手は価値が高まっています。人気の高いデザインを紹介しましょう。
一番人気の希少デザインは赤猿切手
1980年に中国十二支切手シリーズの第1弾として発行された赤猿切手は、赤い背景に子猿のイラストが特徴です。それほど可愛らしいデザインではないのですが、その精巧さはまさに芸術品といえます。毛は細部まで精緻に描かれ金粉まで施されているので、世界中の切手ファンの憧れの的といわれているのです。
発行枚数が予定よりも大幅に減らされたため流通量も少なく、希少性が非常に高くなっています。当然買取相場も高く、状態が良ければバラでも十数万円といった買取価格がつくケースもあるようです。しかも80枚の切手シートで状態がよければ、数百万円にまで跳ね上がることもあるといわれています。
買取市場における切手は、シートの状態が最も高く取引され、シートから切り離された状態では買取価格が下がってしまうことがほとんどです。しかし赤猿切手は、バラの状態であっても高い買取価格が期待できるでしょう。さらに子猿の表面に施された金箔が残っているなど、高品質であればより一層の高価買取の可能性もあります。
毛沢東切手にはさまざまな種類があり、そのすべてがプレミア
中華人民共和国の初代国家主席である毛沢東の中国切手も、高値で取引されています。イラストだけでなく、文字のみの切手があることも大きな特徴で、とくに文化大革命時の切手はプレミアといわれているようです。
その理由として、中国切手に記載されている偏号の存在があります。この時期、それまで使われていた「紀」や「特」が廃止され、「文」や「革」が使われました。短期間であったため、これらの偏号が印刷されている切手は貴重です。
文化大革命時に発行された毛沢東切手はシリーズ化されており「毛沢東の長寿を祝う」「毛主席の最新指示」「毛主席の長寿をたたえる」「毛主席は赤い太陽」などは人気シリーズとなっています。
一番人気は「毛沢東の長寿を祝う」で、全11種類が揃っていて、なおかつ保存状態がよければ数十万円以上の買取価格となるようです。また「毛主席の最新指示」も人気が高く、全5種類が揃っていて保存状態がよいものであれば、こちらも数十万円以上の買取価格が期待できるでしょう。
「全国の山河は赤一色」は数千万円クラス
高値で取引されている中国切手ですが、その中でも「全国の山河は赤一色」は桁違いです。文化大革命中の1968年に発行されましたが、半日で発行が中止になり回収されたため、現存する枚数が非常に少ない切手となっています。回収の理由は、中国地図をすべて赤一色で塗るはずが、台湾だけ赤く塗られていなかったためです。
現代でも中華人民共和国と台湾の関係は複雑なものですが、この当時はかなりの緊張状態にありました。そのため、台湾が中国の国土ではないことを示していると当局に判断され、半日で回収されてしまったのです。
市場に出回ることがほとんどないので、2009年に香港で開催されたオークションでは4,300万円で、同じく香港で開催された2013年のオークションでは9,100万円で落札されました。ただしこれには、歴史資料や投機目的という面もあります。当然ですが買取相場も高額で、保存状態がよければ数百万円から数千万円の買取価格となっているようです。
他にも中国切手には、紅楼夢切手・徐悲鴻莽馬切手・大パンダ切手など、芸術性の高い希少デザインが数多くあります。コレクションや投機目的などの理由だけでなく、芸術的な価値においても、中国切手の人気はますます高まっていくといえるでしょう。